今年の7月頃、ブレイザーズがチームのエースであるダミアン・リラードとのスーパーマックス契約締結に合意したとの報道があった。これはブレイザーズ愛と確かな能力・記録を残し続けているリラードにとって妥当なものであろう。
スーパーマックス契約はリーグに7~8年いなければならず、また球団都合のトレードなどを除いて同じチームにずっといなければ権利を得られない。そのためスーパーマックス契約を結んでいる選手はとても少なく、現時点ではカリー、ハーデン、ウエストブルック、ジョン・ウォールしかいない。
だが、近年ではアンソニー・デイビスやクワイ・レナード、ポール・ジョージなどNBAで一番のお金を得られるこのスーパーマックス契約締結の権利を手放してまでもトレードを要求し他球団へ移籍する選手が目立っている。
この点について、当のリラードはメディアが作る圧力が原因だと感じているようだ。彼の以下のコメントをNBC Sportsが伝えている。
メディアやそういった奴らのおかげで、スーパーマックス契約から離れてる。外部の影響もあって、レガシーについて話してるんだ。「彼はそうするべきだ。ああするべきだ」ってね。そうして「お金が重要じゃない。チャンピオンシップを獲りたい」って言ってしまうんだよ。本当に、そういうのが決断に影響してる。
メディアのプレッシャーっていうのは「彼は勝ちに行くべきだ。そうするべきでお金を気にするべきじゃない」ってやつだ。それでじゃあお金をスルーしてチームに留まったからといって、それが勝ちに行っていないかという意味ではないと俺は思う。42歳になってキャリアが終わって、何も勝ち取れなくて、にもかかわらず6000万ドル以上を捨てて、そうなれば誰もそんなやつのこと話題にしないだろう。
契約の話は様々な利害が絡み合う複雑な状況が作られる。そのため選手としてもスーパーマックス契約を勝ち取るためにチームに残るか、勝利を優先するかは難しいところであり、家族の存在は故郷などお金と勝利だけが決断に影響する要因であることもない。
とはいえこのスーパーマックス契約そのものが「負の側面」を感じさせている一番の原因は、おそらくジョン・ウォールの存在だろう。
ウォールが約2年前に締結したスーパーマックス契約は今シーズンから始まり、4シーズンで合わせて1億7千万ドルを得る内容となっている。だが多くの方が知っている通り、ジョン・ウォールはこの契約が始まる寸前、つまり今年の年明け頃に怪我で療養中家で転びアキレス腱断裂という大怪我を負った。そのため今シーズンの復帰は絶望的とされ、さらにスピード系の選手がアキレス腱断裂は前例がないことから、これからのキャリアが危ぶまれているのだ。不慮の怪我とは言えこの先キャリアが危ぶまれている選手に1年で約4000万ドルを払うということは、想像するだけでも恐ろしい。
そういったリスクがあるため、さらにスーパーマックス契約の条件上結ぶときの年齢がどうしても20代後半~30代前半となることもあり、チームにとってギャンブル性の高いものとなってしまっているのである。
どの関係者にとっても最高になる契約を結ぶのはとても難しいが、リラードが行ったことは全くもって正しいことである。スーパーマックス契約を結んだ以上それ相応の活躍が期待されるわけだが、彼はその期待に答えられるだろうか。